第24章 飛び込んで
コンコン
「おーい、ヤッホ!あーけーて!」
「あぁスンマセンスンマセン!」
「何で謝ってんの?」
外から咲姫、桜井くん、国彦さんの声が聞こえてきた。
「五分くらいしかたってない…すごい急いで来たんだな。」
小林さんは楽器庫の扉を開けようと内側についている鍵のつまみに手を伸ばした。
「ダメだよ」
しかし、明さんがそれを阻止した。
「え?ダメって…」
「お兄ちゃん、10分って言った。開けろって言うって言った。」
「明さん、しかし三人が外に…」
「じゃあ違う人だよ。偽物。」
明さんの言葉に僕は少しイラついた。咲姫が外にいるのに…
「えー!?開けてくれないの!?泣くよ!?私泣くよー!?」
「あなた、絶対咲姫ちゃんじゃない!一回しか会ったことないけど、咲姫ちゃんは扉が開かなかったら真正面からぶつかってくるような子なんだよ!」
明さんは扉の外に向かって叫ぶ。確かに、さっきの発言は咲姫らしくなかった。
「…本当に、咲姫じゃないのか?」
「な、何言ってるの。私だよ!」
「……そういえば、さっき渡辺さんは腰をぬかして動かねえって国彦さんが言ってた…よな…?」
小林さんも怪しいと思ったのか顔をしかめた。
外側の三人は何もしゃべらない。
「あと、お兄ちゃんは何で謝ってんの?とか言わない。世の中の殆どの事を面倒くさいって思ってる人だもん。一々そんな事で声を出すなんて重労働しないと思う。」
明さんのこの台詞がとどめだった。
ダンダンダンダン!!!!
ドアが勢いよく叩かれた。
「ひっ!」
「アケテェアケテェ…!」
明さんは短い悲鳴をあげる。小林さんはゆっくりとそんな明さんの背中を撫でる。
「はい黙れ」
外で一言そんな声が聞こえた。
そしてグシャッ!と何かをつぶす音が響き渡った