第23章 明
「私、寝てたのよね。起きたらこんなところにいて…。変な化け物が追いかけてくるから、もうビックリ。」
明さんは深い深いため息をついた。
「もう、化粧もしてないのに…携帯つながらないの?ここ。」
「残念なことに、ね。てかよくしゃべるね。」
「しゃべらないとやっていけないわよ。」
明さんの横顔をコッソリ見る。携帯の光でうっすら光っている。
本当に咲姫に似ている…
「あー、もうイタ電やっちゃお!テレビ電話だい!」
ババババとすばやく番号を押し、明さんは誰かへテレビ電話をかけた。
『もしもし!?』
「あ、なーんだつながんじゃん!」
「えぇ!?つながんの!?」
「お兄ちゃんヤッホ!」
明さんの携帯を慌てて小林さんと覗く。
全力疾走しているのか携帯の画像が揺れていた。
『おい明!何でここにいるんだよ!!!!』
「知らないよー。てか何してんの?鬼ごっこ?」
『ガチ勢鬼ごだよ!つかもうきっていいか!?』
『チョイチョイ国彦くん!?何してんの!?彼女と電話!?リア充!?リア充なの!?爆ぜて!?』
『咲姫ちゃんそんなこと言ってる場合じゃないですよ!!!』
明さんの携帯から、かすかに声が漏れている。
「咲姫!?」
「え、ちょっと!」
気がつけば明さんから携帯を取り上げていた。
『え、誰』
『わー!征十郎だ!イェイ!鬼ごっこナーウ!!!!』
明さんの電話相手を押しのけて咲姫がドアップで映っていた。
「あ!咲姫ちゃーん!」
『おぉ!その素晴らしいセンター分けは明ちゃんだねぇ!?久しぶり!』