第22章 少年
「うん。多分それであってる。」
国彦くんはしゃがみこんで眉をひそめた。
「何、気分悪いの。ていうか何でスカートと洛山のジャージ着てんの。」
「咲姫ちゃん、怪我しちゃって制服が破れちゃって洛山の人から借りてるんです。」
私の代わりに桜井くんが丁寧に答えてくれた。国彦くんは納得したようにダランと背負っていたカバンを下ろしてあさり始めた。
「ん。」
いきなり突きつけられたのは国彦くんの学校の征服らしいシャツだった。
「俺の、妹の。体操服と間違ってカバンに入れたんだ。結局体育サボって佳寿郎探し行ったんだけど。着れば。」
「あ、ありがとう…」
「咲姫ちゃん、体調は大丈夫ですか?」
「うん。大分まし。」
起きあがると頭のクラクラはもうなかった。
「じゃ、外出てますね」
そうして私が着替えてる間二人には外に出て行ってもらった。
国彦くんの妹とも会ったことはある。名前は明ちゃん(めい)。国彦くんとは真逆で名前の通り明るい子だった。
一つ年上で今は高校二年生のはずだ。
「着れたよ!」
「うん。ぴったりだね。」
征十郎のジャージを国彦くんはカバンに入れてくれた。
「じゃあ行こうか。」
「うん…ってどこ行くの!?」
「とにかく、あれから逃げようか。」
あれ?ふと振り返れば…包帯少女が。
「国彦さん!?」
「ちっ…やっかいだな。行くぞ。」
国彦くんはポケットに手を突っ込んだまま走りだした。私と桜井くんもそれに続く。
「お、お待ち下さい!!」
「来るなメーテ人形!!!!」
「ちょ、何!?これ何!?」
「ぜんっぜんわかりません!!!!!」