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脱出せよ【黒子のバスケ】

第21章 青の闇


突然頭を殴られたような痛みに襲われ、私は立てなくなった。


「渡辺!!」

「咲姫ちゃん!」


先輩達の声が遠くなっていく。










「ごめん、ごめんね、兄さん」


幼い頃の記憶。というかこれは夢かな?

って…あれ?兄さんって誰?

ていうかここ、どこだろう。

何で私は泣いてるんだろう。

見た目的に、病院の病室だろうか。真っ白なベッドに肌の白い男の子が眠っている。


「力弥、力弥…!」


りきや?力弥とは男の子の名前だろうか。

私の側にお母さんもいる。顔を覆って泣いている。

病室の窓に、お父さんの後ろ姿が見えた。ベランダに立ち尽くし、魂が抜けたみたいだ。


「力弥…」


力なくそう呟き、ただただ青い空を見上げている。

私はその男の子の側でワンワンと泣き続けていた。











「咲姫ちゃん…!」


目を覚ませば、すぐ目の前に桜井くんの顔があった。


「あれ?桜井くん……どうしたの……?」


上手く頭が回らず、私はやっとのことで声を出した。


「い、いえ!あのなんかよくわかんないけどここにいて!スミマセン!わかんなくてスミマセン!」

「いいよ…謝らないで…!?」

「……咲姫ちゃん、具合が悪いの?」

「えっ……と…………うん。」


何ともないと言いたかったが、嘘をついてもバレてしまうだろう。


「無理しないでね」

「うん……また飛んじゃったのかな…ここ、どこだろう。」


しかしこの短時間で何回飛ばされるのだろう。

この場所は今までで一番不思議な場所だ。

窓は開いていて、外から夜空の青白い月の光が入ってきている。

教室のようで、部屋全体が青白い色で覆われている。

桜井くんの後ろに、一人の男子高校生と思われる人物が机の上に座っている。

どこかの学校の征服を着て、少し着崩している。首にヘッドホンがかかっていて、右腕にジャラジャラとした腕輪がついている。

耳にイヤーピアスもついており、どうやらチャラついた人なのだろうか。

だが顔は整っているし肌は白いし髪は黒色だし、真面目そうな人だ。


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