第21章 青の闇
「俺達はここで色々なことを調べ、儀式のことを知ったんだ。」
「そっか…。じゃあ、これから何が起こるか分かってるってことね?」
葵ちゃんの問いかけに先輩達は頷いた。え、私わかんない!!
「咲姫さん。儀式の話し…ていうか、この施設にあった絵本なんだけどね。題名はちょっとよく覚えてないけど…
よく寝る前とかに先生と真紀さんが読んでくれたわ。」
葵ちゃんはゆっくりと、その内容を話してくれた。
むかーしむかし。とある村に、メーテという女の子がいました。
メーテは10歳の誕生日に、お人形を買ってもらいました。
それはメーテの父が遥々遠くの街から買ってきてくれたもので、メーテはお人形を宝物にしていました。
それからしばらくして、メーテの母は突然の病で死んでしまいました。
メーテの父は悲しみ、母親がいたあの日々に戻ろうとしました。
そのためには人形の儀式をしなければならなかったのです。
人形の儀式を行うためには人形の持ち主が人形を抱き、その人形に自分の魂をあげなければなりません。
メーテの父は悩みました。しかし、結局メーテに儀式をさせました。
父親は母のいるあの日々に戻りました。しかし、そこにメーテの姿はありませんでした……
「この世界は佳寿郎の欲望と復讐心、そしてあの人の私達が生きていた幸せな日々に戻りたい心でできてる…。
人形が持ち主に会った時点で儀式の準備完了。あとは私達の欲望を消すだけ。でもそれはあんたの死を表す。」
「ここから出るには、咲姫ちゃんが死ななきゃいけないってこと…!?無理よ、そんなの…」
実渕先輩が掠れた声を出した。でも、私は落ち着いていた。
一つ、確信があったからだ。
『現実はどこにある?』
私はもう、ここに来た意味を分かっていた。
やっぱり、全部私のせいだった。