第21章 青の闇
葵ちゃんの言葉に、私はハッとした。私が今背負っているものはすごく重いんだ。
「うん…わかった。」
改めて気を引き締めないと。
「そんなに気張られても困るけどさ…。まぁいいや。それよりあんた達、早くここから逃げた方がいいわよ。私はそれを言いに来たの。
アイツに頼まれてね。アイツもアイツよね。そんなに殺したがりだとは思わなかったわ。」
ブツブツと言う葵ちゃんに全員が首を傾げた。
「さっきからあんたが言ってるアイツって誰のことだ?」
「あぁ、アイツね。説明いる?」
黛先輩の問いかけに葵ちゃんは心底嫌そうな顔をした。
「名前は湯沢佳寿郎(ゆざわかずろう)。復讐の主犯者。でも佳寿郎が消滅することはないわ。アイツは生きてるもの。」
葵ちゃんの言葉に、私達は耳を疑った。子供は全員、殺されたのではないのか。
「佳寿郎はね。今、どこかの病院で植物状態で眠っているの。ここにいる佳寿郎は怨念…。アイツ本体が死なない限り、アイツは消滅しない。」
「それじゃあ……どうすれば私達は外に出られるのよ…?」
実渕先輩は真剣な顔で尋ねていた。葵ちゃんは少し顔を歪めた。
「わからないわ…。前例がないもの。でもあの人が言ってた儀式をやれば出られるわ。」
「儀式?」
その危ない響きに思わず聞き直してしまった。
「お人形さんには会った?」
「お人形さん?」
「目に包帯を巻いた女の子よ。あとついでに、フードをかぶった人。」
包帯少女は私をここまで連れてきた子で、フード少年はここに来る途中に会った子だ。
「そんな奴いたか?」
「根武谷先輩、私会いました!」
そう言うと皆ギョッとした顔で私を見た。
「会っちゃったんだ…」
葵ちゃんは頭を抱え、先輩達はわなわな震えた。
「え、何?何なんですかー!?」
戸惑っている私に、黛先輩は落ち着いた様子で答えた。
「儀式の準備ができたんだ…」