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脱出せよ【黒子のバスケ】

第21章 青の闇


目の前には、気の強そうな女の子がいた。ポニーテールにした髪は茶髪で、ショートパンツとTシャツを着たアスリート風な女の子だ。


「私は佐野葵(さのあおい)。この施設にいた子供のうちの一人。」


葵ちゃんはピンと背筋を伸ばしてハキハキとしゃべっている。


「あんたが今回のターゲット?」

「うん。あまり認めたくないんだけどね。」


ヘラッと笑うと葵ちゃんは顔をしかめた。


「ちょっと何ヘラヘラしてんの?あんたのせいで私達子供は悲劇繰り返しだし、あんたのお仲間はここへきて危険な目にあってんのに…

ちゃんと責任持って行動してる?アイツから聞いたら好き放題やってるみたいじゃない。

あんたが死んだらお仲間さん達は外に出られず腐敗して永遠、ここに住み続けるのよ。」


ズバズバと言ってくる葵ちゃん。私の顔色が悪くなっていくのがわかる。

だんだん顔を上げるのがしんどくなってきた。


「そんな顔しないでよ!これじゃ私が悪者じゃない!ぜーんぶあんたのせいなの!!!!お前らが…お前ら家族は本当に厄介者だ!!!」

「おいお前!」


葉山先輩はズンズンと葵ちゃんに近づいていく。

大きな先輩に少し臆したのか葵ちゃんは一歩下がった。


「言いすぎだよ!何もかもが渡辺のせいじゃないだろ!」


目にたまっていた涙を強引にゴシゴシぬぐう。


「葉山先輩、大丈夫ですから…」

「ほらまた!」


今度は私の方へズンズンと来る。葵ちゃんの気持ち、わかるかも。私は一歩下がった。


「大丈夫じゃないでしょ!顔色悪いし…!渡辺はぜーんぶ抱えすぎ!ちょっとは頼る!

どっかで俺達がここに来たのは自分のせいだって思ってたんでしょ!?だから泣いてるんでしょ?」

「そうね。小太郎の言うとうりだわ。」


実渕先輩は厳しくそう言った。


「勝手に出て行くときもふざけんなって思ったしな。お前は全部一人でやろうとしすぎなんだよ。」


根武谷先輩にまで言われた。
葵ちゃんは、またしゃべり始めた。


「あんた達は私達5人の子供が消滅しなければここから出られない。香太郎とヴィクトリアはそれを知ってあんたらに協力した。

自分が消えると知ってて…。私も消えたくないけど、正直死んだまま生き続ける方が嫌。

私達5人の子供の命を預けるあんたがそんなんじゃ、困るのよ。」


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