第20章 ***とともに
「香太郎とヴィクトリアが消滅しました。」
「そうか…これであと3人だな」
「いえ、小林タイカを含めばあと4人です」
「厄介な奴がきたな…小林タイカ…」
一人は、目に包帯を巻き付けている少女。一人は、フードをかぶった少年。
「絶対に儀式を成功させるんだ。そしてあの日に帰ろう。」
「…………不本意ですね」
包帯少女の言葉にフードの少年は首を傾げた。
「私達はこのためだけに殺されたのですね。復讐、憎しみ、嫉妬、欲望……そんなものの実験体なんて…」
「わかってる。だから終わらせよう?もう僕らみたいな人達が出ないように。このままじゃまた何年も過ぎてしまう。」
少年は少女に優しく言った。
「ですが…そのためには彼女…渡辺咲姫が…その…」
「大丈夫。香太郎とヴィクトリアが彼女に全部託したんだ。きっと生き残るよ。その前に、アイツをなんとかしないと…」
少年は包帯少女の頭を撫でた。
「いってきてくれる?」
「もちろん。」
少女は立ち上がりゆっくりと歩き出した。
長い廊下を歩いていると、後ろから気配がして立ち止まった。
「どうかしたのかい?」
振り返ると誰もいなかったので、私は征十郎と小林さんに笑ってごまかした。
「ごめん。何でもない。」
「何かあったら言いなよ。おぶってやるから。」
小林さんはニッコリ笑ってそう言ってくれた。
お礼を言おうとすると
「すみません。」
目の前からかの包帯少女がやってきた。
この後の運命が変わることを、咲姫はまだわかっていない。