• テキストサイズ

脱出せよ【黒子のバスケ】

第19章 解答


「ずっと、思ってた。言わなきゃって。」


ーー誰だろう。

フワフワした気分のなか私は暗闇に立っていた。

目の前に、誰かがいる。

多分、男の人。


「でも、言えなかった。いや、言わなかった。俺の顔すら覚えてないお前に、どう伝えたらいいかわからなかった。」


若い人だ。すごくつらそうな顔をしている。


「お前はとてもいい子だ。人の心がわかるし、他人のためなら自分の命だって捨てる。思いやりのあるいい子だ。よく真紀に似ている。」


お母さんの、知り合いかな?


「でもお前は、自分自身の気持ちをわかっていない。」


???どういうことだろう???


「他人を思うあまり、自分の心をわかっていない。お前は不安定で、とても弱い。そこは、俺に似てる。だからお前は強くなれ。」


よく意味がわからなかったけど、なんでだろう。

ポロポロと、涙が出てくる。


「お前が俺達を思う気持ちはわかる。でももういいだろ。自分を解放しろ。自由に生きろ。」


涙が出てくるのは、この人が誰だかわかっているから。でも、信じられない。だって。


「お前は、自らの意志でここにいるんだ。俺と真紀に会いたい、という気持ちで。

それを断ち切れ。俺達のことを忘れろとは言わない。前を向け。自分自身に勝たないかぎり、お前はここから出られない。」


もう、涙が止まらない。

目の前にいる

お父さんの言葉に。


「大好きだぞ。咲姫。」


そこで声は途絶えてフワフワした気分もなくなった。



/ 88ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp