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脱出せよ【黒子のバスケ】

第16章 全てを隠す


「やはり、狩るものと狩られるものは仲良くできない。所詮、こんなものね。」


皆の視線がリアちゃんにうつった

だがリアちゃんはそんなことにはかまわずこーちゃんの元へ歩み寄り、優しく頭をなでた

こわばっていたこーちゃんの顔が少しゆるんだ


「説明、しろと言ったわね。」


リアちゃんは黒子くんの肩に触れた


「自分で見てきなさい。」

「え…」


黒子くんの肩からリアちゃんが手を離すと黒子くんが突然消えた


「テツくん!?」

「黒子っち!?」

「え、ちょ、どうなってんのー?」


皆も驚きを隠せないようだ。それは私も一緒だった。


「あーちゃン!なんデ!?なんでこんなことしたノ!?」


こーちゃんも珍しく取り乱している。


「いいの。もう、いいの。ゆっくりお休み……」


リアちゃんがこーちゃんの頭に手をのせる。するとこーちゃんは気を失って倒れた

そんなこーちゃんの頭をリアちゃんは自分の膝の上にのせてゆっくりと頭をなでる。


「渡辺さん、青峰さん、虹村さん。」


いきなり名前を呼ばれて私達三人は身構えた。

でも、リアちゃんがフッと微笑むとその緊張感もとけていった。


「この子の記憶、見たのね。…変に意地っ張りで、頑固で、強がりやで、それなのに甘えん坊で…寂しがり。

おかげで全然この施設になじんでなかったわ。」


リアちゃんは体育館の天井を見上げた。


「懐かしいわね…。ここで、たくさん遊んだわ…。」


思い出を一つ一つ思い出しているようだ。


「この子のこと、よろしくね。黒子さんには…すぐ会えるわ。」


まるで自分の子のようにリアちゃんはこーちゃんを見つめた。


「リア、黒子には本当に何もしていないのだな。」

「ええ。むしろ元気になって帰ってくるんじゃない?」


ニッコリ笑った彼女に皆が見とれていた。


「じゃあ、私はここまでね。あとはよろしくね。香太郎。」


フワァと光がリアちゃんを包み込んだ。


「なんなんすかこれ……」


やがて体育館中を包み込んだ光は、とても優しかった。


「もう、思い残すことは………

でも、そうね。もう一度本物の空が見たかったわ。薄い紙に閉じ込められたら空じゃなくて、本物の空……

また…………見れるかな……」


天井を見上げ、目を閉じたリアちゃんの姿はもうなかった。





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