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脱出せよ【黒子のバスケ】

第15章 涙を流さないのは


「うわぁぁぁぉえぇぇぇエ!」


今吉さんとだべっているとこーちゃんの叫び声が聞こえてきた。

こーちゃんの近くには黒子くんがいて、まぁだいたい察しはつく。

黒子くんの手にはリアちゃんからわたされたあの絵の筒があった。

あれをわたそうと声をかけたら驚かれたのか……


「黒子っちドンマイ!」

「その呼び方やめてください。黄瀬くんなみにうざいです。」

「黒子っちーーーーーーーーっ!?」


あれ?今ブラックな何かが見えたよーな…?


「えっト……」

「これ。ヴィクトリアさんからです。」

「え?あーちゃん……?」


クルクルと絵を広げるこーちゃんに、私はつっこむ。


「見せてーーーー!私にもぜひ!チラ見でいいから!」

「……見せるから落ち着きなヨ」


ほラ、と渡された絵をマジマジとながめる。


「ほほー!すっごい!リアちゃん、絵上手だねぇ!」


空の絵だった。リアちゃんの目と同じ色の、蒼い空。


「中学のとき黄瀬くんが描いた絵とは月とすっぽんだね!」

「渡辺っちひどいっす………」

「……黄瀬くん、前から思ってたけど渡辺っちって無理矢理すぎない?」

「あ、やっぱりっすか?」


気づいてたんだ!?なら最初からそうよばないでよね!

中学の頃、おかげでなべっちというあだなが定着したんだからね!
 

「香太郎くん。そろそろ説明してくれませんか。」


ふと、黒子くんの声が明るい空気をぶったぎった。


「ヴィクトリアさんもそうですが、君はいったい何者なんですか?」


体育館の空気が固まったのがわかった。
皆、遠巻きにこっちを見ている。

このなかで全ての事情を知ってるのは私と青峰くんと虹村先輩のみ。

皆の視線がこーちゃんに集中する。私はこーちゃんをかばおうと口を開こうとした。

そのとき


「モード、2。救世主。」


あの声が聞こえてきた。
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