第14章 モード、1。振り出しに戻る。
「え…」
ばっと目が覚めれば全く見覚えのない教室だった。
「モード、1。振り出しに戻る。」
無機質な声が聞こえたかと思えば白いワンピースを着た裸足の女の子がいすに座って絵を描いていた。キャンバスがあって本格的だ。
(…………すごい美人だ)
小林さんまではいかないが白い肌に金髪のフワフワした長い髪。そしてくりくりしたあおい目。青色っていうか蒼色って感じ。まつげも長い。
目の色……えーっと、こんな色あったような……。あ、ターコイズブルー。
ちょっと悪いけどタコちゃんって呼ぼうかな。
……全力でやめよう。こんな美人にそんなことすれば何が起こるかわかったもんじゃない。
この子は普通の人間かな…。包帯もないし腐敗もしてない。
「どうして私の顔を眺めるの???」
あぁ、声も綺麗。
見た目的に外国人かな……?あ、でも日本語しゃべってたし……どっちだ?
「ね、日本人?」
「……」
ピタッと彼女の絵を描く手が止まった。
「………違う。外国で生まれて、日本育ち。わかってると思うけど、ここの住人。ここは、美術室。」
「ここの住人ってことは……?こーちゃんと一緒なの?」
「こーちゃん…すなわち香太郎ととらえても?」
激しく頷く。
ボソッと呆れたネーミングセンス。と聞こえてきた。
え、ひどくない?
「そう…。相も変わらず、ね。ここから出ようとしてるのね。」
「うん!こーちゃんすごい頑張ってるの!私も協力してるの!こーちゃんから色々聞いてるんだけど、あなたは悪い人なの?」
「………どう、かしらね。」
彼女は筆とパレットを床におき、私に向き直った。真正面から見ると、すごい綺麗。綺麗の一言。
「興味、ないの。復讐だのなんだの、好きにやればいい。私、生きているときもここで絵を描いていたのよ?
好きなのね、絵を描くことが。好きなことをやってるのに、何を恨むの?恨むのは、私自身。止められたんじゃないかって、ほんの少し。」
正直、よくわからないが彼女自身の思いがあるのだ。
それは知っちゃいけないし、知ろうとしてもいけないのだろう。