第14章 モード、1。振り出しに戻る。
「つーか、ここどこだ。」
火神君の一言ではっとした。ただ廊下を歩いていただけなのに。
いつの間にか森にいた。
空は青色。木漏れ日が心地よい、そんなおだやかな森。
「…………最悪」
ムスッとした顔で小林さんは木陰にかくれる。どうしたのかな。
そんな私に火神君が説明してくれた。
「なんか理由はよくわかんねーけど、紫外線が駄目らしいぜ。」
「アルビノだからだろ。」
「アルビノゆーな。」
木陰に膝を抱えて座って不機嫌まるだしの顔でこっちをにらんでいる。
すねた小学生みたい…。
「人間は…紫外線から体を守るために色素があるけど………俺にはないから。」
「へー、そーなのか。」
青峰君は興味なさそう。ちょ、先輩への態度!
小林さんは大して怒りもせずぽつりとつぶやいた。
「俺、鳥になりたいなぁ。」
「白鳥っすか?」
そう言った火神君の顔面に石がクリティカルヒット。
「君に話したのが間違いだった。とりあえず、なんかこの道歩けやボケナスみたいな感じだからちょっと歩こうか。」
ダウンしている火神君を踏んづけて森の不自然な一本道を歩き出す小林さん。影のあるところを選んで歩いているから紫外線は大丈夫そう。
「ってー。」
「自業自得だろ。」
「んだと!?」
後ろで言い合う二人を無視して小林さんは歩き続けている。
私はどっちに行ったらいいのかわからず微妙なポジションでノロノロ歩いていた。
「ここ、いいね。」
「え…?」
そんな私を気遣ってか、ただたんに話したかっただけなのか。小林さんは立ち止まった。
「太陽って感じ。」
目を細めて、口元をゆるませて。
小林さんは笑っていた。
「……はい!」
幸せそうな顔に私はつられた。