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脱出せよ【黒子のバスケ】

第4章 俺と僕


「自分から来たらどうですかー?赤司君?」


仕返しにいじわるをしてみる。
周囲がざわめいた。

え?何で?あいつよく赤司にあんなこと言えるなー的な雰囲気ですけどなぜ?


「わかった。」


再びざわめいた。

あの赤司が他人の言うことをきくだと?的な雰囲気ですけどなぜ?私よく征十郎のことパシるよ…?

すみっこで座っていた私の隣に征十郎は静かに座った。


「咲姫」

「…なに。」


ムスッとして意地を張ることにきめこんだ私は征十郎の顔を見てたまるものかと膝に顔をうずめた。

昔っからデリケートがないのよ。こいつは。私にアウェー感味わせて自分はトンズラするのよ。


「真太郎から聞いたよ。あれに追いかけられたんだってね。」


あれ。とは男の子のことか。


「あれに…追いかけられる前は…どこにいたんだい?」


言いにくそうに途切れ途切れに言ってくる。じゃあ聞かないでよ。


「征十郎には教えてあーげない!」


プー!と頬を膨らませツーンとそっぽをむく。


「怖い思いをしたのはわかって…」

「わかってないでしょ。」

「わかっている。」


うっぜぇぇぇぇ…!殴り倒したいし蹴り倒したい。


「あらあら、だめよ征ちゃん。」


誰か来たと思えば実渕先輩だった。


「女の子はデリケートなのよ?ね?ほら頑張って。私達、もう一つの体育館へ行ってるわ。そこに食事もあるし。皆お腹が限界なのよ。」


周りを見れば実渕先輩以外誰もいないを

実渕先輩がポンと征十郎の背中を押してもう一つの体育館とやらの入り口へ向かって行く。


「…おいで。」


征十郎が腕を広げてこっちを見ている。


「ん。」


私は征十郎に抱きついた。


「怖かったね。」

「うん。」


征十郎は私の頭を撫でてきた。小さい子をあやすようでムカついたけど。


「お疲れ様。」

「それ、緑間君に言えば?」

「いい。俺が咲姫に言いたいんだ。」


あ、俺に戻った。


「征十郎はやっぱ俺の方がいいや。」

「咲姫。さっきはすまなかった。……どこにいたのか、教えてくれるかい?」

「うん。」


征十郎はやっぱこうでないと。

彼の胸の中でニッコリ私は笑うのだ。
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