第12章 泡沫の記憶たちと
「うーわ、本当にいたよ。」
「まじか…。」
突然のほほんとした声と低い声が響いた。
その声の主を見た青峰君は目を見開いた。
「アルビノ…!」
「青峰ぇ!なんかおかしいぞ!?おかしいだろ!?へんすぎだろ!?」
「待て俺を忘れてんじゃねぇ!」
一人は髪の毛が真っ赤な火神君。もう一人は髪も肌も真っ白な人。
「んー?こいつあれか?噂の赤司の幼なじみ?」
「そうだよ………です。」
顔をジロジロ見られて緊張してしまう。あ、近くで見ると本当真っ白。
「あー、渡辺は初めてだな。この人は…」
「誠凛高校二年、小林タイカ。まぁ外見は察しろ。」
どうやら火神君の先輩らしい。というかどうやったら察せるんだろうか……。
「…あれ?火神君って体育館にいたんじゃないの?」
「あぁ。つーかお前勝手に出て行ってんじゃねーよ。赤司をおちつかせるの大変だったんだからな。なんか扉開かなかったし青峰はいねーし。」
「なんかまずい予感がして急いで出たからな」
青峰君の勘っていったい……
「へ?扉開かなかったって…今は開いてるの?」
「ガチャガチャやってたら開いたんだよ。でおめーを探してたら小林さんに会ったんだよ。」
驚いたぜと小林さんを指差す火神君。しかしそこには誰もいない。
「ん?アルビノさんどこ行った?」
「ここにいる……っていねぇ!!!!本当あの人やばいな放浪癖!!!」
フリーダムな人みたいだ。今までも何回もこんなことがあったらしい。
「……ごめン。……僕の力…もたなかったみたい……」
「大丈夫!ゆっくり休んでね!青峰君の背中で!」
「あ?寝んのか?」
お疲れ様と頭を撫でればすぐに眠った。荒い息もしばらくすれば落ち着いた。
「んー?寝てる?うん寝てるね。僕にちょーだいな。」
「は?アルビノいたのかよ!」
「アルビノゆってんじゃねぇ!!!!」
青峰君の背中からこーちゃんを抱き上げ自分の背中に背負う。
「あのなぁ!子供背負うときはなぁ!揺らさないようにだなぁ!おんぶするんだよ馬鹿やろう!カスッ!クズッ!ボケッ!」
言葉はきついけど超良い人だった。