第12章 泡沫の記憶たちと
「俺は咲姫のこと、疎ましいとは思わないよ。俺の家に来ればいい。」
そう言ってくれた。
でも私はそれを断って親戚のお世話になった。親戚の人達は私に今もよくしてくれている。
そのとき、約束した。
「私、もっと強くなるから。だから今よりもっともっと強くなって、征十郎も守れるぐらいになったらさ、
征十郎の家に行くよ!」
はたから見ればプロポーズだが征十郎はそう思っていなかったのだろう。
「あぁ、待っているよ。」
と、言ったのだ。
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だから。約束したんだ。
「なに……弱気になってんのよ。」
こんなところで、へばってられない。
とっくに限界をこえている足を必死に動かす。
どこまで走ればいいんだろう。
のぼりの階段はもうない。おそらくここが最上階。
「ハァッハァッ……ついたっ……!」
そう。ここに来るのが目的だった!
希望が見えてきたよ!
「よくも追いかけ回してくれたわね!」
とにかく一番近くにいたやつの顔面を思いっきり
殴った。
「ウゥゥォォォ」
うめき声をあげてそいつは階段から落下。そこからは将棋倒し。
どんどんどんどん落ちていった。
そして階段の下には腐敗しきった人間の塊がたまりやがて動かなくなった。
「やった………!」
「やったじゃなイ!!」
階段したから聞こえてきた声。
「てめぇ一発殴らせろっ!!!」
「青峰君!?こーちゃん!?」
地獄の鬼にも勝るような形相の青峰君におんぶされてて相変わらず顔色が悪いこーちゃんが階段をかけあがってきていた。
「追いかけてきてたの!?」
「きたら悪いカー!!!」
「こんの無茶しやがって!」
「あいたっ!」
ビシッと青峰君のデコピンが私のおでこに命中した。
こーちゃんはそれ以上罵倒する力も残っていないのか真っ青な顔でそれを見ていた。