第10章 雑談
「そういえば渡辺さんていつから赤司と一緒なわけ?」
「むがっ!…もぐむがっ!……んくんく…」
「や、飲み込んでからでいいから。」
高尾君にそう言われリスのようにほうばっていたクッキーを急いで飲み込んだ。
「産まれる前から。」
「えぇ!?どういうことですか?」
近くで話を聞いてきた桜井君とさつきちゃんもよってきた。
「親同士が仲良くてねー。お腹にいた頃から一緒なの。」
「へー…。でも赤司君ってなんでも完璧だから、私もあんな幼なじみが欲しかったなーって思うよ!」
………え?
「さつきちゃん…頭大丈夫?」
「え?私今何か変なこと言った?」
「いや何も言ってないと思うけど」
「ぼ、僕もそう思います…」
となれば私が変なことを言っていると言いたいのかね?え?
「だってあいつは馬鹿なんだよ!?バカ征なんだよ!?中学のとき誕生日に何が欲しいかって言われたから
『彼氏が欲しいなー!』
って言ったら
『じゃあ僕がなろうか?』
って言ってきたんだよ!?ふざけんなって話しでしょ!?あんな奴誰が彼氏に欲しがる!?」
そのときはぶちぎれた。顔面ストレートくらわしてやった。鼻にティッシュつめなきゃいけないやつだ。
…その日の放課後つけてたから謝りに言ったけども。
「…告白はしてたんですね」
「赤司も苦労してんのな。」
「なんか…応援したくなってきた。」
三人がそろって、ため息。
え?何??どゆこと???
「あのー…意味がさっぱり…」
「あー、ちょっと突然だけどさ。渡辺さんは赤司のことどう思ってる?」
「どうって?」
「そりゃ…好きか嫌いか」
「突然だねぇ…」
好きか嫌いか?そんなの決まってる!
「断然嫌い!」
「わーお直球」
高尾君は頭の後ろで手を組んで苦笑。さつきちゃんは遠い目をして苦笑。桜井君は冷や汗たらとらかいてすみませんと謝って苦笑。
「咲姫。」
桜井君でも高尾君でもさつきちゃんでも私でもない声が響きわたった。