第8章 復讐
「……とりあえずごちゃごちゃ考えずにここから出ればいいんだろ?ならそれでいいじゃねぇか。」
「虹村先輩!?さっき私に考えろって言いませんでした!?」
「記憶にねぇ。」
…………っ!
たまにぶん殴りたくなる……!
「まぁまァ、とりあえず体育館行ク?この中で貧血きつかったり体弱い人いル?」
すぐさま手を挙げた。私だ。100%私だ。
「……トリップとかするのって結構体に負担かかるんだよネ…。体弱い人は出来ないんだよネ…。
もしかして体育館から飛ぶとき頭痛しタ…?」
「した。」
「オーマイ神様……!」
佐藤君は頭を抱えた。
「なんだヨ。ただ体弱いだけカ。それで2日間寝てたのカ。」
グチグチと愚痴りながら頭から手を離す。
「しょーがなイッ!歩いて行こウ!無理にやると命に関わってくるからネ!」
そう言い、虹村先輩がぶっ壊した扉へと佐藤君はクルッと体を向けた。
そこには
「ミィツケタァ…」
大量の刃物を持った血まみれの大男がいた。
「ゲッ!来やがった…!」
虹村先輩はとっさに佐藤君の元へ走ったが、それよりも大男が刃物を佐藤君に投げる方が長かった。
「危ないっ!」
勝手に体が動いた。
気がつけば右腕に痛みが走っていた。
「っっったぁ……!」
「お姉さン!?何やってるノ!?早く逃げテ!」
とっさに佐藤君を抱きしめてかばったらしい。その証拠に私の右腕には大男が投げた刃物がかすっていた。
かすっただけなのに、出血がすごい。
顔をあげれば、大男が私めがけて刃物を振り上げていた。
「渡辺!目ぇつぶってろよ!」
虹村先輩の声がして目をつぶる。
グチャ
何か固いもので柔らかいものを殴る音が聞こえてくる。
何回も何回も。
やっと聞こえなくなったと思えば虹村先輩が私と佐藤君の体をゆっくりと起こしてくれた。