第8章 復讐
「うーン…。ここにいる化け物はあの4人だけじゃないんだよネ…。
不幸っていうのは連鎖なんだヨ。間違って連れ込まれた人達がここで殺されれば復讐心を持ツ。
そして復讐心に飲み込まれて本来の目的を忘れ目の前にいる人間を殺そうとすル。それがターゲットならばなおさラ。
つまり君。体育館は皆ガ……僕らが殺された場所だから理性のない皆は入ってこないと思うヨ。
君には体育館でゆっくりしてろって言いたいけド、真希さんの娘である君がここに来たのも何かの縁だと思うんダ。
皆の欲望を消すノ、手伝ってくれル?」
懇願する彼の目は真剣だった。
正直、すごく怖いけど……。
「うん!わかった!よーしっ!はりきっちゃうよ!袋とじ開けるときなみに!」
「ちょっとしか頑張らねぇんだな!?」
きっとそれが私に出来る唯一のことだから。
それが皆元の世界へ戻る方法なら私は喜んでやる。
「…デ、非常に言いにくいことなんだけド………」
彼はゴホン!と咳払いを
しようとしてケフン…というかわいらしい咳をした。
「ケフンケフン。」
不発連発だった。
「ケフン。咲姫お姉さんを体育館からここに飛ばしたのは僕なんだけド…本当は職員室に飛ばすつもりだったんだけド。
違う教室に飛んだよネ?」
「うん。確か、普通の教室。」
「うン…。そうカ、やっぱリ…。」
ふむふむ…とどこか納得したご様子。
「不具合が生じてル…。」
「不具合?」
「こコ、段々変わってきてるんダ。進化してル。僕の力が通用しないくらイ。それハ、絶対復讐を果たすという決意の表れ。
咲姫お姉さんがここに来たのは皆の二日後だって言ってたネ?」
「うん…。」
「そのその二日の間に、男子高校生が集団で失踪したっていうニュースって見た?」
「見てないけど…」
佐藤君の顔がけわしくなった。
「ここと元の世界って、時間の流れは同じなんだヨ。なら消えた男子高校生のことが話題にならなきゃおかしイ。」
……確かに。征十郎なんて同じクラスで隣の席だから、二日もいなくなれば私も異変に気づくはずだ。
「つまり君は音楽室に二日前からいタ。なぜか皆が君を目覚めさせることをこばんダ。体育館に来て欲しくなかっタ……?」
佐藤君の推測は、きっと正しい。
なら、その理由は…?