第6章 トリップ
その後職員室をあさってみた。職員室なら鍵ぐらいあるだろ。という先輩の提案だった。
先輩が蹴ったら鍵いりませんよっ!
と言いたかったが黙っておいた。
「マスターキー……」
「ナイス教頭…」
教頭先生の机からやろう!ということになり引き出しをあければさっそくマスターキーという名のアイテムが出てきた。
「これは…ホテル行ってオートロックなこと忘れてて鍵を持たずに部屋を出たときフロントに行けばボーイが出してくる万能アイテムでは……?」
「そうだな。そのマスターキーだよな…。」
意外とあっさり出てきたのでなんだかテンションが下がった。
「…じゃあ次はここがどこか調べないとな。」
「無駄だからやめれバー?」
虹村先輩がつぶやくと聞いたことのない声が職員室に響いた。
それは扉の入り口からで、扉には知らない小学生くらいの男の子が立っていた。
黒いノースリーブシャツに白いズボンで青いコンバースというちょっとオシャレな高学年ぐらいの男の子だ。
ただ、左目に包帯をしている。
「あれレ?もしもーシ、耳聞こえてル?」
何の反応もない私達を不思議に思ったのか彼は私達の目の前まで来た。
虹村先輩は私をかばうように私の前に立った。
「むぅ…そんな警戒しないでヨ。ねぇ、後ろのお姉さン?このでかいお兄さんなんとかしてくんなイ!?渡辺咲姫さーン!」
「な、何で私の名前…知って…」
無邪気な男の子が怖かった。思わず一歩後ろに下がる。
「何でっテ、次は君の番だかラ。」
くりっとした目で見つめられるがよくわからない。
「てめぇ、いったい何者だ…?」
「あ、うン。僕ネ。佐藤香太郎(さとうこうたろう)。この施設に通ってたんダ。まぁもう死んでるけド。」
佐藤香太郎君は、あっさりそう言った。