第6章 トリップ
扉を開ければ血の海だった。
「……は!?」
虹村先輩も驚きを隠せないようだ。
鬼に追いかけられてたとき、校舎を全部走ったつもりだったがそうでもなかったらしい。
こんな場所があるだなんて知らなかった。
「せ、先輩…」
「心配すんな。あー…。あれだ。ケチャップだ。」
「…でも……」
ケチャップと言われても無理なものはむりだ。この異臭が血だということを生々しく伝えてきている。
「わかった。」
突然虹村先輩がそう言ったかと思えばフワリとした浮遊感を感じた。
「え!?に、虹村先輩!?」
「おとなしくかつがれてろ。」
虹村先輩に肩にかつがれてた。
なんか今日かつがれ率高いね!?
「あ、歩けますので!」
「足ぷるぷるさせてた奴が何を言う」
「なおりました!」
「震えてんぞー」
「虹村先輩が高いんです!おーろーしーてー!」
すると先輩が私をおろした。
ホッとしたのもつかの間今度はお姫様抱っこで走り出した。
「はいいいいいいいーーーっ!?」
「うるせぇ!なんか来てる!見んなよ!」
そう言われたが視界の端でとらえてしまった。
腐敗した人間、いや肉の塊が追いかけてきている。あいつが通った後に血の筋ができている。この血の海はあいつが原因なのだろうか。
あんな体なのにどうしてそんなに速いのだというくらいの速度で追いかけてきている。
思わず反射的に目をつぶって虹村先輩の服をギュッとつかむ。
「安心しろ。つかまんねぇよ。」
虹村先輩もかなり速い。あっという間に引き離した。
「な?」
「足速いですね!これからMr.瞬足って呼んでいいですか!?」
「やめろだせぇ。」
え!?即答!?
…そういえば私ネーミングセンスないって言われることよくあるんだ……!
「うし、あいつ来てねえな。」
そして今度こそおろしてくれた。