第3章 *1*
だが、逃げ出さない事に少しだけ驚いていた。しかし、クロークはすぐに切り替えてキュラに向かって小声で話す。
「キュラ、とりあえず此処から離れろ。俺も後から追い掛ける。」
「…分かった…。」
クロークの言われた通りに、キュラはコクリと頷く。その様子を見逃さないリヴァイ。そして、キュラが動くと同時にリヴァイは、得意のスピードでキュラに回り込む。
「テメェ…今、逃げようとしただろ?」
「…………。」
リヴァイの問いに答えないキュラ。これで挟み撃ち状態となってしまったキュラとクローク。その時、頭上からヒュー…と高い音が聞こえてきた。
「兵長!上です!!」
ペトラは、異変に気付きリヴァイに声を掛ける。咄嗟の行動で、リヴァイは、キュラから離れる。そして、ドーン!と大きな音がする。
何よりもリヴァイが立っていた場所が、大きな穴が出来ていた。物凄い力だ。
「近付くな、人間。僕達が許すと思うか?」
其処には、黒く大きな翼を持つシーラの姿があった。その姿を見た皆は言葉を失う。クロークはちょうどいいと思い、ニヤリと笑う。
「シーラ、キュラを連れて此処から離れろ。」
「分かった。」
シーラは、ゆっくりと頷きキュラをお姫様抱っこすると、バサッ!と翼を広げる。そして逃げるように急に飛び立つ。それを逃がすまいと、リヴァイはブレードを構え斬り掛かる。
が、それを抑え込む人物がいた。それは、クロークだ。
「触ろうとするな、人間。そんな物で俺達が捕まえられると思うか?」