第3章 *1*
クロークが、鋭いブレードを右手で掴む。その手からは血が流れ出す。それでもお構いなしにずっと掴んだまま。
「テメェ、1人だけでも捕まえれば十分だ。」
リヴァイは、それだけを言ってクロークを睨み付ける。たが、クロークは表情を変えないまま怒りが混じった声で言う。
「甘く見るな、人間。俺達はお前らには捕まらない。」
クロークは、持っていたブレードを離すと人間と比べられない程の速さでその場を逃げ出した。勿論の事、その瞬間は誰も予測が出来ない為、思わず茫然となってしまった。
「ちょっ!?今の何!?凄かったー!!」
逆に興奮してしまったハンジ。リヴァイは、血の付いたブレードをポケットからハンカチを取り出し拭く。
「なんだったんだ?今のは…。」
「ゴタゴタ言ってねぇーで、帰るぞ。明日は明日でやる事がある報告はハンジに任せる。」
「了解ー!!」
そう言って、リヴァイ班とハンジは引き上げることになった。一方で、無事逃げ切れた3人は近くの木に座り込む。
そして、クロークが怪我をしている事に心配をするキュラ。
「怪我してるよ…。」
「大丈夫だ、気にするな。それよりも……。」
「さっきの人達でしょ?はっきり言って人間嫌いだけど、少しだけ興味はある。」
珍しくシーラから出た言葉に、キュラは少しだけ口元を吊り上げる。
「明日、潜入しよーよ。何か面白い事がありそう……。」
「まぁ…キュラが言うなら…俺も同行しよう…。」
「僕も行く。キュラが心配だからね。」
変化が得意なキュラは、明日久しぶりに壁内に入る事にした。それを同行する2人だったのだ。人間と妖怪の時間の流れが少し違う為、3人はその時間潰しと感じていたのだった。