第10章 *8*
リヴァイが、天井を見ながら呟くようにエレンに言う。巨人と接してもいつでも情報不足。
その情報不足で、状況が何1つも分からない。だから、最悪の状況を想定するしかないのだ。
「かと言って血も涙も失ったわけでもない。だがな…後悔は無い。」
リヴァイがエレンにそう言うとエレンの後ろから階段に降りるモブリットが、リヴァイの名前を呼ぶ。
「ハンジ分隊長がお呼びです。」
「…あのクソメガネ待たせやがって…。」
リヴァイは、文句をいいながらもエレンと共に、移動し始めた。部屋に入れば、重い空気であった。部屋にいた人達は、一斉にエレンを見る。それは、圧迫した空気だった。本来なら居たくない場所だ。だけど、逃げることなどは出来ない。
「クソでも長引いたのか?」
「そんなことないよ。快便だったけど、上への説明に手間取っちゃってさ。」
リヴァイにとって待機時間が長かったのか、ハンジに聞いた。だが、ハンジはいつも通りの表情をしては答えていた。すると、ハンジは…まぁ、エレン。とりあえず、これを見てくれ。と一言言っては、ポケットから何か取り出す。ハンジが取り出した物は…。
「ティースプーンですか?」
「そう、エレンが出した巨人の右手がこれをつまんでた。こんなふうに人差し指と親指の間でね。」
ハンジは、先程の状況をエレンに説明する時、再現をする。その再現を見たエレンは…えっ?と驚きの声と表情をしていた。ハンジは続けてエレンに説明し始める。
「偶然挟まっていたとはちょっと考えにくいね。しかもなぜか熱や圧力による変化は見られない…。何か思う事はない?」
「あ…!確かそれを拾おうとして…。」