第10章 *8*
そして、ずっと黙っているエレンに向かって、エルドは、何かしゃべれよ!と更に問い掛ける。
エレンは、何か言おうとしていても、グンタやオルオがエレンの言葉を塞ぐような必死に問い掛けてしまう。
「エレン!答えろ!!お前は人類にとっての―――」
「ちょっと!黙ってて下さいよ!」
ついに、焦りと苛立ちを隠せなくなったエレンは、叫び始めた。エレンの叫びと共に、更に表情を硬くする、エルド、グンタ、オルオ、ペトラ。
遠くの方から走ってきたハンジは、エレぇン!!と興奮した表情でグンタの横を通る。
「その腕、触っていいぃぃぃ!?ねぇ!?いいよね!?いいんでしょ!?触るだけだから!!」
「ハ…ハンジさん!?ちょっと待って―――」
ハンジは、エレンの言葉を無視をしては巨人化となった部分である、手の方を触り始める。
その時に、ジュウウウゥゥ…という焼ける音が聞こえてきたのだ。
「うおおおおお。あッ…つい!!」
ハンジは、叫びながら勢いよく巨人から離れる。よほど、熱かったのだろうと思われる。
両膝を地面に付かせ、ハンジは叫び始めたのだ。
「皮膚無いとクッッソ熱ッいぜ!!これ!!すッッげ熱いッ!」
「分隊長!!生き急ぎすぎです!!」
ハンジの様子から思わず、皆は茫然とするしかない。そして、あることに気が付いたハンジは、立ち上がり、ねぇ!?とエレンに質問をする。
「エレンは熱くないの!?その右手の繋ぎ目どうなってんの!?すごく見たい!!」
ハンジの言葉にようやく気が付いたエレンは、自分の右手の繋ぎ目を見る。
――そうだ!さっさとこの手を抜いちまえば…。こんなもん!
エレンは、そう思いながら、引っ張り始める。