第10章 *8*
エレンの行動に、驚き慌ててブレードを握り締めるオルオ。
「オ…オイ、エレン!!妙なことをするな!!」
ある意味、一番ビビッているのはオルオなのかもしれない。エレンは、ふん!と巨人と繋がっていた部分を引っこ抜き勢いで、後ろへと転がっていく。
エレンが抜いてしまったことで、巨人は蒸発し始めた。それを見ていたハンジは、頭を抱えて早すぎるって!!と騒いでいた所、何か見つけたのか動きが止まっていた。
ハンジが見つけていたのは、巨人化となった手の所にスプーンが握っていたのだった。
転がったエレンは、その場で膝を地面に付き荒々しい呼吸を繰り返していた。その隣にリヴァイがエレンに、気分はどうだ?と問い掛ける。
エレンは、荒い呼吸しながら自分でなった巨人とリヴァイ班の皆を見て…。
「あまり…良くありません。」
状況が落ち着いた所で、調査兵団本部に戻る。エレンとリヴァイの2人は階段の所で話をしていた。エレンは、階段の所で座り俯いたまま、リヴァイに語り掛けていた。
エレンは、ここにいることで、自分は生かされていることを自覚していた。そして、自分自身は人類にとって天敵だということも分かっていた。
「実際に敵意を向けられるまで…気づきませんでした。あそこまで自分は信用されてなかったとは…。」
エレンの言葉を黙って聞いていたリヴァイが、当然だというばかりにエレンに向かって言った。その言葉に驚いたエレンは、目線だけリヴァイの方に向ける。
「『生きて帰って初めて一人前』ってのが調査兵団の通説だが…そんな地獄のような状況であいつらは何度も生き延び成果を残した。生き方を学んだからだ…。」