第9章 *7*
確かに、リヴァイの言った通りだ。仮にエレンが巨人化に成功しても、それが暴走すれば、リヴァイ達にも危険を及ぼす。
リヴァイに言われたエレンは、後ろにいたリヴァプール班のメンバー、ペトラ、オルオ、グンタ、エルドを見てもう一度前を向いてから、はい…わかりました…と返事をするのだった。
すると、ずっと机の上で座ってその様子を見守っていたハンジが、じ…じゃあ、とリヴァイに声を掛ける。
「実験していいよね?」
「…リスクは大きい…。かといってこいつを検証しないワケにもいかないからな。」
「計画は、私がやっていいよね?エレン…わからないことがあったら、わかればいい…。自分らの命を懸ける価値は十分にある。」
というわけで、実験の計画は全てハンジが担当することになった。普段、ふざけているようなハンジだが、頭が良く巨人の研究に対しては、一番なのかしれない。
そして、ハンジの提案で外に出ることになった。エレンは、ハンジの指示通りに涸れ井戸の中に入る。ハンジは、涸れ井戸を覗きエレンに伝える。
「準備ができたら信煙弾で合図するから、それ以降の判断は任せたよ!」
「了解です。」
ハンジの考えでは、この涸れ井戸で巨人化になったエレンを拘束できると考えた。勿論、仮に自我の無い状態であっても、拘束できるという考えを持っていたのだ。
ハンジとリヴァイは、馬に乗り涸れ井戸から離れる。そして、ハンジが信煙弾を打つ。それを見た獲れんかってんは、合図だ…と呟いていた。そして、エレンは少々、難しい表情をしながら自分の手を見た。
巨人の操作…壁を塞いだ時以来か…もしまた暴れでもしたら…オレは今回リヴァイ班に殺されるかもしれないのか…。