第9章 *7*
チラ…と女型の巨人の方を見れば、まだもう1人の調査兵団が女型の巨人と戦っていた。
「…まだ1人戦ってます!果敢にも!今なら…まだ間に合う!」
エレンの言葉にやがては、ペトラが叫ぶ。
「エレン!前を向いて走りなさい。」
「戦いから目を背けろと!?仲間を見殺しにして逃げろってことですか!?」
エレンの必死な問い掛けで、一瞬だけペトラの表情が固まる。だが、すぐに表情を戻して、真剣な瞳でエレンに向かって、ええ!そうよ、と肯定を示していた。
「兵長の指示に従いなさい!」
「見殺しに理由がありません!それを説明しない、理由もわからない!なぜです!?」
エレンの言った通りに、見殺しにする理由がなかった。本来なら仲間のピンチを救うのが普通。しかし、中には理由があって助けられない時もある。それは、前もって説明をするべきである。
だが、ここでは説明も全くなく、ひたすらリヴァイの『指示』に従うことしかなかった。エレンは、それに納得していなかったのだ。
「兵長が説明すべきではないと判断したからだ!それがわからないのはお前がまだヒヨコだからだ!わかったら黙って従え!」
エレンの横にいたオルオも、ペトラと同じようなことを言い出す。エレンは、オルオの問い掛けで黙ってしまう。しかし、エレンは後ろを向いては戦っている調査兵団を見ていた。
まだ戦っている!たった…1人で…。イヤ…1人だって戦えるじゃないか、何でオレは人の力にばっかり頼ってんだ、自分で戦えばいいだろ。
エレンは、右手を軽く持ち上げ口元に持って行く。口を開き親指の付け根を噛もうとしたとき、ペトラがエレン!?何をしているの!!と驚きの声をあげる。