第9章 *7*
エレンは、なぜ…と驚くばかりの表情を浮かべながら言ってしまう。
「リヴァイ班がやらなくて誰があいつを止められるんですか!」
その時、エレンの背後にいた増援の調査兵団が、女型の巨人に掴まれては木に押し潰される。エレンはその光景をしっかりと見ていた。
「また死んだ!助けられたかもしれないのに…。」
エレンの反応に誰も答えようとはしない。オルオやペトラは、複雑そうな表情を浮かばせていた。その調査兵団の死に様をキュラ達もしっかりと見ていた。
冷たい瞳で、見下すようにも見える。だが、今のキュラ達にとっては、傍観者にしかならない。木を上手く使っては、女型の巨人とそのリヴァイ班を観察していた。
「…本当に、人間は脆い。この状況で、何をしていいのかさっぱり分かっていないようだね。」
キュラは、この状況を楽しんでいるのか僅かに口元がつり上がっているようにも見える。その後ろから付いて来るシーラが、けど…と言葉を付け足してくる。
「あの…小柄な男…何を考えているのか僕には分からない。この状況で焦る様子も見せない。」
シーラが、言った小柄な男とは、恐らくはリヴァイのことだろう。確かに、シーラの言った通りにリヴァイは、焦る様子も見せない。ひたすら前を向いて馬を走り出しているだけだ。
「…何か企んでいるようだな。」
クロークは、目を細めてはリヴァイを見ていた。いや、正確には観察をしていたっと、言った方が正しいのかしれない。キュラは、巻き込まれない範囲で行動をして、いざとなったら、奪えばいい…という考えをしていたのだった。