第9章 *7*
一方で、ズシンズシン!と大きな足音が聞こえてきて、エレン達の前で姿を現す。女型の巨人は、エレンを見る。
「クッ…この森の中じゃ事前に回避しようがない!」
「速い!追いつかれるぞ!」
「兵長!立体機動に移りましょう!」
ペトラ達がリヴァイに指示を求める。その時、背後から2人が女型の巨人を追い掛けて来た。どうやら、増援らしい。
2人同時に、女型の巨人のうなじに直接アンカーを刺しては狙いを定める。しかし、女型の巨人は、それを読んでいたのか体を僅かに傾けて、近くにあった木に向かって1人目の兵士を潰す。
そして、もう1人の兵士は握り潰した後、木に押し潰した。これは、数秒で片付けてしまった。それを見ていた、リヴァイの顔色が一気に変わる。
まるで、この巨人は危険だということを…。リヴァイは、女型の巨人を睨み付けるように見ていた。
「兵長!指示を!」
「やりましょう!あいつは危険です!俺達がやるべきです!」
「ズタボロにしてやる…。」
──馬鹿め!自分から地獄に来やがった…!お前が追っかけてんのは巨人殺しの達人集団だ!
エレンがそんな事を思っていたが、いつ経ってもリヴァイからの指示がこないのに分かった。エレンは、リヴァイ兵長!?と声を張り上げてしまう。
「指示をください!」
「全員、耳を塞げ。」
リヴァイは、皆にそんな事を伝えながら撃つ。その時、キィィィ!という高い音が鳴り響く。とてもかなりの範囲で響いた。女型の巨人を追い掛けてきた、キュラ達にも聞こえた。
とくに耳が良いキュラにとって、この音は好きじゃなく咄嗟に耳を塞いでは、顔を歪めるばかりだった。