第9章 *7*
尚、森の外で回り込んでは巨大樹の枝で待機している班が沢山いる。ジャンは、待機していて正気かよ…と言っていた。
「当初の兵站拠点作りの作戦を放棄…その時点で尻尾巻いてずらかるべき所を大胆にも観光名所に寄り道…そのあげく馬降りて抜剣してつっ立って…森に入る巨人をくい止めろ…。」
どうやら、ジャンはどこか不満があるらしく、あいつ…ふざけた命令しやがって…とついには班長の悪口を言ってしまう。聞こえるよ…と注意するアルミン。
ジャンの話では、ろくな説明も無くそれを斬新と感じていて、更に上官ではなかったなら、聞き流していた…という話までしてしまう。
「極限の状況で部下に無能と判断されちまった指揮官は、よく背後からの謎の負傷で死ぬって話があるが…別に珍しい話でもないぞ、こりゃ…。」
「ジャン…それじゃあどうするの?」
アルミンは、ジャンにちょっと険しそうな表情をしながら質問をすれば、あ?と答えて振り向くジャン。数秒ほど、アルミンを見てからマジになんなよ、と答える。ジャンは、この状況に苛出せていたらしい。
「どうするってそりゃあ…命令に従う…。巨人を森に入れない。お前もそうするべきだと思うんだろ?アルミン。」
「え?」
「何やらワケ知り顔だが?」
ジャンの言葉に、えーと…僅かに戸惑いを見せるアルミン。その時、5m級の巨人が接近してきた。ジャンの推理では、巨人を森に入れなければいい、交戦する必要もない。
巨人は、人間の数が多いほど寄ってきては、その場に留まることがある。無理に交戦する必要はないということだ。巨大樹の枝に留まっておけば、巨人は集まり森に入ることはない。