第8章 *6*
そこに残っているのは、女型の巨人に敗れた兵士の死体があった。女型の巨人に踏まれたせいなのか、その部分だけグチャグチャだった。
その様子を冷たい瞳で見ていたキュラ達は、女型の巨人が走って行った方向を見ていた。
「人間は……脆すぎる。」
キュラは、そんな風に呟いていた。キュラの言った通りに、人間は妖怪と比べたら、脆い存在だ。
あの女型の巨人は、何が目的だろうか…。人間同士で殺し合ってて、なんの意味がある?何の利益を得る?何もかも分からない。
「キュラ、そろそろ出発するか?」
クロークの言葉で、先程考えていた思考が停止する。キュラは、数秒考えてからしっかりとコクリと首を縦に振って頷く。そして、キュラ達は再び走り始める。
三列一・運搬では、疑問だらけの行動に戸惑いの表現を見せていた。更に、右翼側が壊滅状態だとも聞いては撤退しないことにも疑問を思っていた。
そして、初列十三・索敵ではあることを言い始めた。そう、進路が東のままだということを…。目的地の旧市街地は南だとも言っていた。
初列五・索敵では、このままだと陣形はあれにぶつかると言い出していた。そのあれとは…。
「…見えてきたぜ。巨大樹の森が…。」
次列中央・指揮にいるエルヴィンは、最初からこの巨大樹の森に行くことが目的だった。
「巨人の往来があったようだ…。路地に草木が生えてない。荷馬車も進めそうだ。後方に伝達してくれ。これより中列荷馬車護衛班のみ森に侵入せよ、と。」
エルヴィンは、そんなことを言いながら巨大樹の森に入っていく。
「あの…班長中列は森の路地に入って行くみたいですが…私達このままじゃ森にぶつかっちゃいますよ?」