第3章 *1*
「僕を責めないのかい?」
「誰が責めるんだ?俺達は数少ない妖怪だ。」
「それに、人間なんてたいしたことはない。脆い者だよ。」
シーラは、責められるのではないかと思っていたが、キュラとクロークは笑みを浮かばせていた。
やがてその笑みを見たシーラは、クスと僅かに笑いそうだね…と呟くように答えるのだった。また、この3人は今日ものんびりと過ごすのだった。
一方で、壁外調査を終えた調査兵団は今回の報告を始めていた。調査兵団の兵長を務めるリヴァイは、紙を見ながら言った。
「俺の部下が、奇妙な事を言いやがった。森で人影を見たってな…。」
リヴァイの言葉を聞いた分隊長のハンジが目を輝かせ、声がやけに弾んでいた。
「やっぱりー!実はさー、私も見間違いじゃないかと思ったけど、他の人も見たんだね!」
「その奇妙な話ならミケも見たという事を聞いた。」
調査兵団の団長であるエルヴィンも、そんな事を言う。ミケという人物は、ハンジと同様に分隊長を務める者だ。
流石に見ている人物があまりにも多い為、見間違いや幻覚ではないというのは確かになった。
「ねぇ、ねぇ…エルヴィン!調査しよーよ!」
テンションを上げてしまったハンジは、エルヴィンに調査の許可を求める。その様子から、エルヴィンは腕を組んで数秒を考え込む。
「壁外で人が住めるというのは…有り得ない事だが…。目撃者が沢山いると流石に見過ごせないな…。」
やがてエルヴィンは、リヴァイの方向を見る。リヴァイとエルヴィンの目線が合う。その瞬間、リヴァイは深々と溜息を付く。
「リヴァイ、頼めるか?」
「チッ…。要は、人影の確認だけだろ?そんな時間は掛からねぇと思うが…分かった…。」