第3章 *1*
「ちょっとだけ、様子を見てくるよ。」
「あぁ、頼む。」
シーラは、翼を上下に揺らす。やがて、バザッ!と大きな音を立てて飛び立つ。その音で、ゆっくりと目を開けるキュラ。周りを見回しながら身体を持ち上げる。
「…あれ?…シーラは?」
「外が騒がしいから見に行った。…腹減っただろ?食べるか?」
クロークの横にあった果物を、キュラに見せつける。うん…と頷きキュラは、果物を受け取り噛みつく。
キュラが、食べ終わった頃にシーラが戻ってきた。バサバサと音を立てて地面に着地し大きな羽をしまう。
「あれ、緑のマント…。」
緑のマントという言葉に反応をみせるキュラとクローク。クロークは目を細めて静かに言う。
「緑のマント…。調査兵団か…。相変わらず人間共は…。」
そうこの3人は、妖怪の為なのか人間嫌いとなっている。だが、知識はそれなりに持っている。壁をよじ登っては中いる人間の様子を稀に見ている。
しかし、殆どは壁の外で生活をしている。彼らには力があり、何よりも良い場所を見つけて、そこで充実に過ごしている。
「1つだけマズい事がある。」
シーラは深刻そうな顔する。勿論の事、キュラとクロークの表情も変わる。逆に、シーラは申し訳無さそうな表情へとすぐ変えてしまう。
「僕のミスなんだけど、その人間達に見られたかもしれない…。」
見られた…という言葉に、目を見開く2人。バレてしまえば、相当の騒ぎになってしまうからだ。しかし、2人はシーラに怒る素振りをみせない。