第3章 *1*
その正体とは、黒い羽がやけに目立つ鴉天狗の妖怪、シーラがいた。シーラは、自分の足が地面に着くと、黒く大きな羽を終う。シーラは、ゆっくりと2人に近付いて座る。
「キュラ…寝ちゃったんだね…。」
「あぁ……ついさっきな…。」
シーラは、愛おしそうな瞳でキュラを見る。そして、よく見るとシーラの手には果物を持っていた。
「はい、コレ…クロークの分。」
シーラは、そう言って果物をクロークに渡す。クロークは、すまない…と言ってから果物を受け取りかぶりつく。シーラも、果物を食べ始める。
「キュラの分、どうする?」
そうよく見ると、シーラの手にはもう1つ果物があった。そう、この果物はキュラの分だ。
「残しておいた方がいいだろう。腹が空けば食べるだろう…。睡眠を優先にしろよ。」
「……わかった…。」
クロークの腕の中で安心して、眠っているキュラ。それだけ、信用しているからだ。スヤスヤと寝ているキュラの寝顔は、幼く見えてしまう。逆にそれを見ていた2人にとっては、平和に思える。
すると、クロークは何処か遠くの方を見ていた。それを気付いたシーラは、どうしたの?と問い掛ける。
「なんか、遠くの方から足音が聞こえてくるんだが……。」
「もしかして、だけど…。こっちに、向かってきてる?」
シーラは、クロークに質問をするとコクリとしっかり頷く。シーラは、そっか…と呟くように言うと、スッ…と立ち上がりバサッと黒い翼を広げる。