第6章 *4*
または地形や障害物により発見が遅れ…陣形の内部に進入を許してしまう場合あり、陣形を分断もしくは破壊される恐れがある…。こうなっては大損害だ。
次列三・伝達であるサシャは、まさかの巨人と遭遇してしまった。サシャは、慌てて巨人から離れようと馬で走り出す。それを追い掛ける巨人。
「ひッ、赤ッ…赤い信煙弾を…。」
「まずい!索敵の取りこぼしだ!」
「こっちに引きつけるぞ!」
サシャの同じ班である先輩方がサシャのあとを追いかけていく。勿論、赤の信煙弾を撃っていた。
「サシャ、こっちだ!」
「こっちに走れ!」
サシャに呼び掛ける先輩方。それに反応したサシャは、馬を引っ張り違う方向を向けさせ走る。そして、先輩方は巨人の目の前を通り過ぎる。
「こっちだ、アホ面!」
それを見た巨人は先輩方の方を追っていく。サシャは、緊張でいっぱいだった為、荒れた呼吸をしていた。そして、建物を利用をしては、巨人は見事に建物にぶつかった。
それを見た先輩は、サシャに言う。
「配置に戻れ、ヤツは燃料切れだ。」
「班長!」
サシャを助けたのは、サシャの班長だった。それを聞いたサシャは少しだけ安心した表情をしていた。
一方で、調査兵団に向かって移動している3人の姿があった。シーラにお姫様抱っこされているキュラ。シーラは、鴉天狗の為、飛びながら移動している。クロークは、足が自慢なので走っている。
下手したら、馬より速いと思われる。
「キュラ。まだ先か?」
クロークの問いに、キュラはピクピクと耳を澄ませては音を捜している。
「馬の音が聞こえてくるから、意外に近いかも。」