第6章 *4*
「マルコは死んだ。」
そう告げるジャンは、エレンに言った。ジャンの姿を見たエレンは、とても驚いていた。
「ジャン…!?何でお前がここに…。──ってえ…?今…今何て言った?マルコが?死んだ…って言ったのか?」
エレンは、目を見開きジャンに問い掛けてしまう。よほど、信じられないみたいだった。ジャンは、変わらない表情で告げる。
「誰しも劇的に死ねるって訳でもないらしいぜ。どんな最後だったかはもわかんねぇよ…立体機動装置もつけてねぇし…。あいつは誰も見てない所で人知れず死んだんだ。」
ジャンの言葉に、エレンは言葉を失うばかりだ。そう、マルコの死はエレンにとってもショックを受けていた。
そして、ジャンはエレンの名前を言ってから一歩前へと足を出してからあることを言い出す。
「お前、巨人になった時ミカサを殺そうとしたらしいな?それは一体どういうことだ?」
ジャンの一言に、周りにいた人達がざわつき始めた。そう、ある作戦でエレンは巨人になったことには成功したが、どうやら我を失っていて、ミカサに攻撃をしたらしい。
「違う。エレンはハエを叩こうとして…。」
「お前には聞いてねぇよ。」
ミカサが否定をしようと言葉をだしたが、ジャンはそんな風に冷たい言葉でミカサを黙らす。
「ミカサ、頬の傷はかなり深いみたいだな。それはいつ負った傷だ?」
ジャンがミカサに問い掛ければ、ミカサは慌てて頬の傷を自分の髪の毛で隠す。それを見ていたエレンは、驚きの表情を隠せない。
やがては、エレンは弱々しく言った。
「本当らしい…。巨人になったオレはミカサを殺そうとした。」
「らしいってのは記憶に無いってことだな?つまりお前は『巨人の力』の存在も今まで知らなかったしそれを掌握する術も持ち合わせていないと。」