第3章 *1*
風に寄って、白く長い髪の毛がゆらゆらと揺れる。静かな場所で、鳥の鳴き声が耳に入る。鼻歌をしながら、目の前にある大きな湖を見詰めている。
この人物こそ、九尾狐の妖怪、キュラである。大きな耳をピクと動かし、後ろを振り向くと、其処には鼬の妖怪、クロークが微笑みながら来た。
「何、歌ってるんだ?そんなに嬉しいか?」
「だって、今日も天気がよくて暖かいじゃん。」
クロークは、キュラの隣まで歩いて来て座る。太陽の光が、とても暖かい。クロークは、微笑みながらキュラの落ちたフードに触る。そして、優しくフードをキュラに被せる。
「フード、取れてたぞ。ちゃんと、被っておけよ。」
「……うん、そうだね。」
キュラは、ニコッ…と笑う。キュラは、クロークを凝視する。それに、気付いたクロークは、両腕を広げる。キュラは、クロークに向かって胸に飛び込む。
飛び込んだキュラは、クロークの背中に腕をまわして、ギュッと抱き付く。クロークも同様にキュラの背中に腕をまわす。
クロークは、片方の手でキュラの頭を優しく撫でる。
「どうした?眠いのか?」
「…うん、凄く眠い。」
「寝てていいぞ、俺は此処にいるからさ。」
「ありがとう。」
クロークの腕の中で、瞳を閉じて深い眠りに入っていくキュラ。キュラは、クロークに寄りかかるようの眠っている。クロークは、頬を緩ませ眠っているキュラを見つめていた。
すると、2人の頭上からバサバサと羽を立てる音が聞こえてきた。