第5章 *3*
「落ち着く~。」
頬を緩ませ、9本の尻尾も姿を表す。その辺に、ゴロンと寝っころがるキュラの姿を見たクロークとシーラは、クスクスと笑う。
「2人して何、笑ってるのー?」
「いいや、キュラを見てると、俺達も幸せだなって、思っただけだ。」
「そうだね。僕達は、ある意味幸せ者だ。」
クロークやシーラの言った言葉を理解出来ないキュラは、首を傾げるばかりだ。つられるように、キュラの横で2人もゴロンと寝っころがる。
太陽の光は、とてもポカポカと暖かくまるで3人を包むような感覚に陥る。その時、ねぇ…とキュラはクロークとシーラに話し掛ける。
眠いのか目がトロンとしているキュラ。
「…手、繋いでいい?」
「お前は、子供か?でも、いいぞ。お前の温もりを感じられる…。」
最初キュラを馬鹿にしたクロークだが、微笑んでゆっくりとキュラの右手を握る。その様子からシーラは、クスクスと笑うばかり。
「人のこと言えないよ。僕もちょうど、君の手を繋ぎたかった。」
同じ考えだった為、嬉しそうに笑うキュラ。そして、同じようにキュラの左手を握るシーラ。そして、3人は川の字のような形で、深い眠りに落ちるのだった。
時間がだいふ経ち、1ヶ月後となった。大きな門の前に立つ部隊…調査兵団の姿があった。
「団長!間もなくです!付近の巨人はあらかた遠ざけた!開門30秒前!」
「いよいよだ!これより人類はまた一歩前進する!!お前達の訓練の成果を見せてくれ!!」
「開門始め!」
「第57回壁外調査を開始する!前進せよ!」