第5章 *3*
「もう一度言う…。調査兵団に入るためにこの場に残る者は近々殆ど死ぬだろう。自分に聞いてみてくれ人類のために心臓を捧げることができるのかを。以上だ。他の兵団の志願者は解散したまえ。」
エルヴィンの言葉で、解散となる。すると、次々と新兵はその場から離れ始める。舞台裏に立っていた調査兵団の仲間が、必要以上に脅しすぎではありませんか?とエルヴィンに問い掛けてしまう。
そうエルヴィンの言葉で、此処に残る者は限られた人しかいない。それに、恐らく人数も少ないとも考える。
──クソ…。頼むぞ、お願いだ。頼むからこれ以上…自分(オレ)のことを嫌いにさせないでくれ…。
ジャンは、目をギュッと瞑る。
──今…ここから動かないと…。また…。
サシャは、恐怖で動けないのか、それとも志願者として動かないのか分からないが、震えていた。
──そうだ…。オレは元々…憲兵になるため村を出たんだ…。
「……母ちゃん喜ぶぞ…。憲兵になったら村の皆もオレを見直す。」
コニーは、村の事を思い出しながらそんな風に語ってはいた。だけど、コニーは動こうとはしない。
──オレ達はもう知ってる。もう見ちまった。巨人がどうやって人間を食べるのか─
やがて、だいぶ人数が減ったところで、エルヴィンは顔色変えず残った者に問い掛ける。
「君達は、死ねと言われたら死ねるのか?」
ヒュウウウ…と風が吹き、死にたくありません!という声がエルヴィンの耳に入る。
「そうか…。皆…良い表情だ。では今!ここにいる者を新たな調査兵団として迎え入れる。これが本物の敬礼だ!心臓を捧げよ!」
「「「ハッ!!」」」
右手で拳を作り、胸にあてる。それが敬礼だった。