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赤い糸

第3章 変化





「で、どうしてあんな場所にいたんだ。」

暫く抱き合って笑い合うと言う幸せで穏やかな時間を過ごした後、赤司くんは思い出したように言った。既に敬語は外れていて、それを咎める気にもなれず私は言葉に詰まる。あんな場所、というのは、きっと先程の居酒屋の話だろう。

「店のバイトの子に、連れ出されて…。」
「それでどうして葉山と一緒に居たんだ。」
「バイトの子の姉妹校に通ってるっていう男の子が、偶然葉山くんで…。」
「…なるほど、合コンか。」
「なっ!?ちが、私はそんなつもりじゃ…!」
「中山7さんにそのつもりはなくても、他は分からないだろう。どういう理由で呼び出されたんだ。」
「そ、それは、新しい恋を探すとかなんとか、言われて…。」

まるで誘導尋問の様だ。詰め寄る赤司くんは怒ったように不機嫌さをまるで隠さずに言葉を吐き捨てていく。私があの場に居たのがよほど気に食わないらしい。

「だいたい、なんで葉山なんだ。」
「…そういえば、葉山くんと赤司くんは知り合いなの?」
「高校からの部活仲間だ。」
「へぇ…。」
「…………。」
「?」

意外な接点を知り、ふむ、と考える。年齢的に葉山くんの方が上だろうに、赤司くんは呼び捨てで敬語も無かった。どういう経緯でそうなったかは知らないが、先輩後輩にもいろいろあるのだろうと思い流す事にする。すれば、赤司くんは何か言いたげに口を開き、閉じて、また開き、言い淀んでいる様子だった。物怖じせずにきっぱり言う赤司くんらしくなくて、首を傾げる。

「……どうして、葉山は名前で呼んでいたんだ。」
「え?」
「……………。」



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