第2章 再会
翌日、いつも通り出勤した私の顔を見たマスターは驚いたようだったけれど何も訪ねてくる事は無かった。目が腫れている事は分かっていた。タオルで幾ら冷やしても、クリアになる思考の様に胸は晴れなかった。ミカちゃんが心配そうに私を気遣ってくれたけれど、曖昧に笑う事しか出来ない自分が酷く情けない。今日になって携帯の電源を入れてから赤司くんからは何度も着信とメッセージが届いていたけれど、どれ一つにも目を通すことなく、応答する事もしなかった。彼はきっと一時の気の迷いで私を気にかけているだけ。そのうち飽きてしまう。だったら、傷付く前に私はこのまま終わらせてしまいたい。自己防衛なのは分かっていた。それでも、傷付くのが怖かった。蓋をした気持ちを知るのが恐ろしかった。卑怯なのは重々承知で、赤司くんとの事は過去にしようと決めたのだ。
「カンパーイ!」
各々頼んだアルコール類を高々と掲げながら、意気揚々とグラスを鳴らし喉を潤わせていく。ワイワイと賑わう居酒屋の一室に、私は居た。合コンという席に参加するのは、もちろん初めてだ。
「めぐみさんは、私のバイト先の先輩なんです。」
「へえー、ミカちゃんカフェだっけ?」
「はい。めぐみさんは仕事も出来るし格好良いしすごいんですよー!この間なんか痴漢捕まえましたよね!」
「えっそうなの!?すごいじゃん!」
「あ、えと、それは、たまたまで…。」