第2章 再会
どうして。どうして。こんなにつらいの。
一気に涙が溢れてきて、視界がぼやける。見ていられなくなって、サッと物陰に自分を隠した。きっと赤司くんには、綺麗で可愛くて自分に自信があって、若くて甘え上手な女の子が似合う。私は可愛げもないし、年上だし、恋愛経験もなくて…何を浮かれていたんだろうか。バカバカしい。
自嘲するような笑みが自然と零れ、一筋の涙を拭った後はやけに頭がスッキリしていた。躊躇うことなく鞄から携帯を取り出し、無料通信アプリを開く。赤司くんとのトークをタップすれば、最後のメッセージは彼からの『駅前で待っています』だった。皮肉なものだ。駅前まで来てしまったけれど、そこで現実に直面するなんて。迷いのない指先でメッセージを送り終え、送信する。去り際に一度だけ赤司くんを見れば、携帯を片手に先程の女の子達に話しかけられていた。
―――やっぱり。彼には、私は釣り合わない。
スッキリとした頭と、ジクジクと痛む胸。相反する感情を綯い交ぜにしながら、私は帰路へと足を急がせた。
『ごめんなさい。今日は行かれません。私の事は忘れて下さい。ありがとう。さようなら』
そのメッセージにはすぐ既読がついて、何度も何度も赤司くんからメッセージと着信があったのだけれど。全てを放棄したくて携帯の電源ごと切ってしまった私には、何も届かないまま一日は終わった。