第2章 再会
心配そうに私の顔を覗き込むミカちゃんに何でもないように答えれば、白い目でマスターを見るミカちゃんが辛辣な言葉を放つ。動揺するマスターの声は裏返っていて、笑ってしまう。しかし笑っているのは私だけで、ミカちゃんは実に厳しい表情だ。確かに最近睡眠時間は前ほど取れてはいないが、日常生活に支障はないと思う。マスターを厳しい目で見やり、私を心配そうに見つめるミカちゃんに「大丈夫だよ」と言うより早く、その視線に耐えきれなくなったマスターが重い口を開いた。
「新しいバイト、探します…。」
「そうしてください。もう少しめぐみさんの負担減らさないとダメですよ。」
「ミカちゃん、私、大丈夫だよ?」
「ダメです。めぐみさんの“大丈夫”はあてになりません。それでこの間も貧血で倒れたでしょう。」
「うっ…。」
何気に痛いところを的確に突いてくるミカちゃんに返す言葉もなく項垂れていれば、カランと入店の際のベルが鳴る。お客様はまだお帰りになっていないから、新しいお客様だろう。瞬時に切り替えて笑顔で接客しようと向き直ったところで、私は停止した。
「いらっしゃいま…せ…?」
「…中山7さん?」
そこに居たのは、初対面以来顔を合わせる機会が無かった赤司くん本人だった。