第5章 第二章第一話
「そういえば姫様と匡様達って小さい頃仲良かったんですよね。なんで再会したとき姫様は冷たかったんですか?」
昔、姫様と匡様、祥さんはこの家で遊んでいたらしい。
「姫さんはそん時の事何も覚えとらんらしいで。まぁ知らん男がいきなり『嫁になれ』言うてきたらそらぁ殴るわな。」
もう十年も前の事だ。覚えていないのも無理は無い。その頃はまだ祥さんが跡取りだった。祥さんは匡様の実の兄なのだ。
「ていうか…前鬼さん下手すぎです!なんで切るだけなのにできないんですか。少しは太郎を見習ってくださいよ。」
ネギがぐっちゃぐちゃになっている。
「もう少し簡単なこと…あ、芋切ってください。芋ならネギみたいにはなりませんから。」
少し不満そうだ。
「半分にして半分にして半分にしてください。」
「…なんで俺が手伝わあかんねん…。」