第5章 第二章第一話
「令さーん、祥さんいらっしゃいましたー。」
ちょうど悠がお茶を淹れているところだった。
「だから僧正って言ってよ、なんで呼んでくれないの。もしかして言えない?」
少し茶化しながら言った。
「あ、バレました?しょうぞうさん、ってなっちゃうんですよ。だから諦めました。祥さんなのは変わりませんからね。」
剛は内心可愛いと思った。
「匡、その子がお前のお姫様か。」
いつの間にか匡が居た。
「なんてね、やっぱり…」
祥と実沙緒が話している間に匡に近づいて小声で言った。
「匡様、下がっていいですか。夕食の準備が…」
もちろん剛と祥の距離をとる為だ。
「あぁ、いいぞ。」
一瞬剛に目をやった。
「失礼します。前鬼さん、手伝ってもらえます?」
断ろうと思ったが、怖いオーラに負けて結局手伝うことになった。
(華とか伯耆の笑顔の圧力…逆らえへんわ…)