第5章 第二章第一話
めんどくさい。
「あそこに居ても気まずいだけでしょう。暇なら、手伝ってもらわないと。特に今日は鍋ですから切るのが一番大変なんです。切るだけなら誰でもできますからね。」
前鬼さんと祥さんは仲が悪い。それは祥さんが太郎達を半殺しの目に合わせたからだろう。あれを許したものは誰も居ない。もちろん私だって。
「切る以外「無いですよ。」あ、はい。」
やっと黙ってくれた。集中して黙々とやってくれると嬉しいんだけどなぁ。
「華、なんで俺はモテへんのやろ。」
どうしてわかってないのだろう。モテない原因がわからないのもモテない原因の一つだろう。
「ポテチをご飯にのせて食べてるからですよ。庇翼院の皆にあれは教えないでくださいね。」
庇翼院とは孤児院のようなところで、前鬼さんもそこで育った。私は主家の血があるから屋敷で暮らしていたけれど、親のいない私にはそこに居る子達が自分に重なって思えた。だから小さい頃からよく遊びに行っている。