第8章 2-第四話
剛さんには恋情だけではなく恨みのような、後悔のようななにかもまざった想いを持っている。
三歳の時に蘭が負った傷、あれは剛さんの力が暴走したからだ。剛さんは二歳だった時、当時から何故か仲の良かった私達は三人でいつものように遊んでいた。
それは突然だった。剛さんが呻き始めたから、おばさんとおじさんを呼びに行った。次の瞬間見たのはおじさんとおばさんを殺している剛さんだった。
蘭と私は逃げた。幸い剛さんはまだ幼く飛び方を覚えていなかった為、飛んで逃げることが出来た。
私だけは。蘭は剛さんと同じくまだ飛び方を知らなかった。
蘭は走って逃げていた。人の多い方には行かないように必死で逃げていた。私は大人を呼びに行って助けを求めた。