第5章 第二章第一話
そのファイルには姫様の写真がたくさんあった。
「やはり隠し撮りだったか。」
「いっこもカメラ目線ないもんねぇ」
自分の隠し撮り写真がこれだけあったら怒らない人はいないだろう。
「ご当主の姫さん溺愛レベル、ストーカー並やわ。」
豊前さんと前鬼さんがゲラゲラ大爆笑していた。
「いや、もはやストーカーよりやばいですって。」
私も笑いかけてしまった。
「姫のためにご当主になっただけありますね。」
姫様が固まった。
「え?」
まさか、知らなかったのだろうか。
「あら、てっきりご存じだと。」
全くわからない、といった顔をしている。
「姫君、貴女様を花嫁に望めるのは一族の当主だけなのです。逆を言えば姫君を望むなら当主になるしかない。」
姫様は唖然としていた。
「匡様はこの十年間、姫様のためだけに努力なさったんですよ。見ているのも痛々しいくらいに…」
十年間ずっと姫様のことを想い続けて、やっとの思いで当主になった。きっと匡様以上に姫様のことを想っている人はそういないだろう。