第2章 *命日
そうだ。
これは幻覚。
そう思い込もうとした。
……なのに。
目の前に立っている彼女は、口を開いたのだ。
しかも、私が一番望まない言葉を。
「…………誰…………?」
どくん、と心臓が大きく鳴った。
あ、そうだよ。
希美のそっくりさんかも。
それでも、そんな思い込みも直ぐに崩れた。
……足元が、透けていたのだ。
「あのね、アタシね、希美っていうの。……ね、貴方は?」
口調も、声も、一人称も。
私は確信する。
あぁ。
これは、希美だ。
そう思うと、何故か涙が溢れる。
「わ、どーしたの!?大丈夫!?」
希美は、おろおろと焦った。
「……っ、もう、会えないと思ってたっ……!」
やっとの思いで、私はその一言を絞り出した。
供えた花束の花が、風に揺れる。